※このお話は一部フィクションです。実在の人物とは関係ありません。思考に関してはこのお話の中だけでおり、筆者は日常では持ち合わせていません。
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就活が本格的に始まる少し前の話。
通学中の電車内で、中学時代の友人に会った。
久しぶりだな、と声をかけたところ
友「いやいやこないだ見かけたよ、◯◯の説明会来てたよね!?」と返された。
たしかに、いくつか説明会へ行っているが、友人の言う説明会には行っていない。
行っていないことを伝えると
「違う人だったのか〜声かけなくて良かったよ〜でもめちゃけんてぃに似てたよ〜」と返された。
その説明会に参加している『僕に似た別の人』ってのがいたのだから驚く。
…いや、正確には驚かなかった。
「ちっ、またかよ」と思った。
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僕は物心ついた頃から「けんてぃに似てる人いたぞ」と言われる人生を送っている。
そんな僕にとって、似ている人が1人や2人いたところで、さほど驚くことではないのだ。
むしろ、僕の似ている人を見つけるなんて朝飯前。「ウォーリーを探せ」のウォーミングアップと思ってくれれば良い。
なんで似ている人を見つけることがそんなに簡単なのかって、テレビを見ていたら大体僕に似ている人が出てくるからだ。有名どころでいくと
サバンナの八木真澄さん(芸人)
ビッグダディの次男さん(タレント?)
このあたりの方々は似ている率90%を超えてくる。
20〜89%だと、俳優の小市慢太郎さんや、芸人のエハラマサヒロさん、ジャルジャルの福徳さん。たまに似ていると言ってくれるのは、俳優の永井大さんや、アイドルの草彅剛さんだ。後ろ2人に関して言えば、申し訳なさしか感じないのである。
あと限りなく、0%(いや髪型だけだよね…)と思っているのが神木隆之介さん。言わずと知れたイケメン俳優である。もうなんだろ、謝罪するしかない。僕にそう言ってくれた人は「1日1回、人に優しく」というモットーがあったのだろう。処方箋かよ。
とにもかくにも、よくここまで似ている人がポンポンと出てくるよなぁと、最初言われたときは感心すら覚えた。
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小学4年生の休み時間。ドロケイで遊んでいた時のこと。
チャイムが鳴り教室に戻る際、ケイ側の友人、高桐くん(仮名)に「ドロ追いかけてる時に、けんてぃに似ている人いたけど、ドッジボールしてたから別の人だよね?顔しっかり見たけどけんてぃかと。」と話された。開始早々僕は捕まったから違う、と話した。(ちなみに誰からも助けてもらえなかった。ドロケイだいたい逃げられるのに。)
中学2年生。
所属していた野球クラブチームの先輩が、神奈川の遠征から帰ってきてすぐに「神奈川のクラブチームのエースがめちゃくちゃけんてぃに似てたんだよ!何スパイしてんだよって思ったわ」と話してくれた。僕は地元にて別の試合に出ていたのでそんな訳あるかい、とつっこんだ。
高校2年生。期末テスト前、友人の小木くん(仮名)がカフェで勉強していたときに、めっちゃ僕に似ている人がコーヒー片手にノートパソコンでカタカタしてたという。「髪の毛フサフサだったから絶対違うと思ったけど顔はそっくり」だと。
野球部に所属していたため坊主だった。だから違う人だねと返した。
大学2年生の冬。同じコースの友人、木村くん(仮名)に「地元の女友達がけんてぃに似てんだよ!」と言われた。初めて性別の垣根を越えた似ている人だったため驚いた。
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最初のうちはテレビに出ている人に、似ていることを指摘されると「おもしれぇ!会ってみたいもんだわ〜」などと話し、笑っていた。
似ている人がいるだけで、会話のネタになるなら良いだろう、程度にしか考えていなかった。
しかし、テレビに出ていない人でも僕に似ている顔の人がたくさんいる。狭いテレビ業界であんだけいるのなら、一般社会にだって当然いる。分かってはいたが、さすがに僕も
(そんなに似ている人っているものなの…?)
と不安に思うようになった。
それでも「このあいだ、けんてぃに似ている人が…」とタレコミをされる。
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人は不安に不安を重ねると、奇妙な発想をも生ませる。
(…どうなってんの、もしかしてクローン技術を人間に…?だとしたら僕のクローン製造されすぎじゃないですか…だけど、クローンを作られるほど有名な人じゃないしなぁ…)
(…そもそもなんの能力も無い僕をたくさん製造するメリットが考えられない…いや実は自分が知らないだけであるのでは…?)
と考えて、目を閉じ、眉間に人差し指を添えてみたが瞬間移動はされていない。どうやら特殊能力は無いようだ。
(…もしや僕はジオン軍の量産型ザク…?宇宙戦争が始まるからそのために量産されて…)と不安がったが、肩にシールドも無いし腰にヒートホーク(斧みたいなやつ)も無い。
当たり前だが体は緑では無いのでそれも違う。
では、なんでこんなに似ている人がいるんだ…!?
そんな簡単な顔でできているのか僕は…!!
としまいには怒りさえ生まれてくるのである。
どうせみんなにも周りを見ればたくさん似ている人だっているんだ。だからって僕ばかりやめてくれよ…
だけど不思議なことに、他の友人は意外にいないもので、やはり僕ばかり。
「けんてぃに似てる人が…」とかもうタレコミやめてくれ…自分がなんなのか分からなくなる…没個性だ…本当にクローンなのでは…
…いやオリジナルは僕だ。僕こそオリジナルだ。だったら似ている人は全員クローン。だったらいなくたっていいんじゃないのか…?
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さあ、いかがだったでしょうか。
似ている人がいたら報告し、当人を傷つける近年流行りのアライクハラスメント、通称「アラハラ」
アラハラに悩む方が近年増えてきています。あなたは良かれと思って「似ている人が…」とつい口にしますが、その一言が当人を追いやっています。
人によってはお話のように、危ないことをしだすかもしれませんね…
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お話とは関係無いけど
「サバンナの八木真澄さんに似ている」と言われる確率が高い。
そんなサバンナ八木さんを検索してみると
こうなる。(左:ビッグダディの次男さん、右:サバンナ八木さん)
検索して、画像を見るとこんな比較画像が出てくる。
つまり
「サバンナ八木≠ビッグダディ次男≠けんてぃ」という図式が出来るのである。
…個人的には、似ているは似ているでも佐藤健さんに似ていてほしかったと思うのであった。
実は肺の病気を患い、入院しておりましたが、先日無事退院しました。とはいっても自宅療養の日々でベッドの上に日がな一日おります。頭があまり上手く回っておらず、あんま面白い文章が書けませんがどうぞ温かい目で…
それではまたよろしくです。