けんていです。
はてなブログ様から出されました、今週のお題「ハロウィン」の話です。
「trick or treat!」
バイトでカボチャのかぶり物をした僕は、イタズラする素振りを見せつつ、子どもにお菓子を渡す。
はじめのうちは良い。いろんな衣装に身を包んだ子どもたちが口々に言うから(かわいいなぁ)となっていたし。
だけども、「お菓子くれよ…!」といわんばかりのオーラをまとった子どもの群衆。いわば例えるならゾンビ。
あまりの恐怖からおばけ役なのに「trick or tr…」の時点で、お菓子渡しちゃったよね。まだ「イタズラか…」の時点なのに既にお菓子でなんとか鎮めてもらおうとしていたよね。
まぁ、そんなお菓子配布イベントを2時間ぶっ通し。さすがに精魂尽きた(オバケに精魂なんてないんだけども)
そんな怒涛の配布から少しして休憩になり、携帯を開いてインスタグラムを見た。
見ると、みんな仮装やオレンジ色の服を身につけてハロウィンを過ごしていた。
どこでって渋ハロに繰り出していたり、サンリオのオールナイトハロウィンイベントに行ったりって感じ。
こういうのを見ると、日本のハロウィンは子どもだけの行事じゃなくなったんだな、楽しければそれでいいんだろうなぁと思った。
ていうか、大人たちよ。ちゃんと「trick or treat!」言ってるか?
せっかく仮装しているならちゃんとお菓子もらおうな…。
…あれ、もしかしたら大人はお菓子をもらえないのか??
えっ?そしたら僕はお菓子もらえないの??
それは解せぬな…
・・・
そもそも大人っていつから大人なのか分からない。何をしたら大人なのかも。
まぁ『成人式のある20歳になったら』とか、『身体的に大きくなったら』、『仕事をし始めたら』大人認定されるといったところか。
昔テレビで「大人っていつから大人?」という質問に「子どもに戻りたいと思ったときから」と、ものすごく深いアンサーが返ってきたのを見た。
深すぎる。
なんかポケモンの歌でも似たようなのあったような気がする。幸子姉さんがエモい。
Pokemon - Pocket Ni Fantasy - Full - YouTube
これで言ったら多分10歳くらいから僕は大人になる。
その当時から「子どもに戻りたい」と思っていた。
10歳はまだ小学生。
その当時の僕は己の限界を知らない天真爛漫、元気溌剌を具現化した生き物であった。
そんな僕が「子どもに戻りたい」というより「子どもであり続けたい」と思っていた理由、たしか学校の先生から言われたこれだと思う。
「大人は感情を殺していく生き物。」
これを聞いて大人になれるのかと思ったのだ。(今思い出せば、子どもに何教えてんだよと思う)
どうして楽しいときに心から笑えず、悲しいときに泣けないのか。
先生の大人理論を聞いた当時の僕は、まったくもって意味がわからなかったし不安だった。
しかし大きくなるにつれて理解できるようになった。(悪い方に)
・・・
中学生のときは、思ったことを口に出せば、間違っているとされるのが、ツマはじきにされるのが嫌で他人の出方を伺ってから話す。
高校生のときは、他人のことを考えて自己犠牲を止むなくしていた(ふりをしていた。)だから偽善者と言われたこともあった。それでもニコニコしながら円滑にコトが進むように動いていたら、大抵上手くいった。
そう、僕は大事な大事な青春時代に生き延びるため、忖度を覚えたのだ。
忖度はすごく便利なもので、感情を殺せば嫌な思いはマヒしてくる。太鼓持ちをしていれば、良くは思われないが、悪くも思われない。友人に接するにも、大人と接するにも忖度はどちゃくそ便利なのだ。
あぁ、大人になるって本音を言っちゃいけない存在なんだなぁ、上っ面で関わらないといけないんだぁ…と。
徐々に自分の感情を押し殺し、自分の選択肢を無くし、相手の理想に応える人、これが「大人」なんだな、と感じていた。
…今文章を書きながら、このときが、一番「大人」だったんだと思う。
大人ぶっていたけど、こんな自分が嫌で、だけど周りには「もう大人になるんだし…」とか言われるから仕方なくしていたけど、めちゃくちゃ子どもに戻りたかったし。
そんな一番「大人」だった青春時代、悪いことばかりでも無かった。
「良いは良い、悪いは悪い」と純に自分の意見をしっかり本音で話せる相手ができた。本気で心をぶつけられる相手ができた。クサいけど、一生の友人ができた。
この友人といるときは、楽しけれは心から笑えたし、間違ったことをしたら本気で怒れた。まるで「子ども」のときのような溌剌さ。
それからというものの、他人のことを考えながら自分の意見を言えるようになっていった。
「大人」っていうのは「子どもに戻りたい」と思ったときのほかに、僕の場合なら「子どものときみたく、純になれる」ときが大人になった1つの目安なのかなぁ、なんて最近は思ったりするのだ。
しっかり大人になれたのか、まだ不安だけれどもね。
・・・
チュイイイイン!!!!
女の子「ウワァォァン!!!!!!」
隣からは、壮絶なドリル音と泣き叫ぶ女の子。
そう、僕はまさに今歯医者にいる。
ハロウィンのイベントで余ったお菓子をもらった。
それを食べ過ぎたのか虫歯になったみたい。
初めての虫歯、初めてのドリル音。僕は生唾を飲み込む。
隣に目をやると
女医さんA「ほぉ〜ら痛くない痛くない!!(チュイイイイン!)プリキュアだよぉ〜!」
と痛みをプリキュアのアニメで誤魔化しているようだが、それでも女の子は泣き叫ぶ。
女の子「ブリキュダァァァア"ァァ!!!!!!」
初めてこんな断末魔で応援されるプリキュアたちを見た。プリキュアたちもやれる?
その様子を見ていた僕に、担当の女医さんがこう言った。
女医さんB「けんていさんは、大人だから泣かないですよね?それではいきますよ〜」
(女医さん安心して、これしきのことで…)
……僕も女の子と同様、「ブリキュダァァァア"ァァ!!!!!!」と泣き叫んだ。
お菓子を食べて、歯にイタズラをされる。
「trick or treat」ならぬ「trick and treat」
だけど大丈夫、辛くても我慢せず泣きたいときに泣くのが大人だ。
思いっきり泣き叫ぼう。感情なんて殺すな。
僕はもう大人なんだな、と歯医者で再確認した。